vol.2 柳本 浩市 氏コラム

Date: 2014年9月30日 Category:

yanagimoto-talk

「セカンダリー・マーケットの必要性」

プライマリー・マーケットとセカンダリー・マーケット

世の中には、社会の中に新しく産み落とされるプライマリー・マーケットと、既に産み落とされたものを再び社会の中で循環させるセカンダリー・マーケットがあります。私たち、特に日本人は社会の新陳代謝としてこれまで、プライマリー・マーケットを重視してきました。表向きは新陳代謝が起る事で、最新のものに更新され、それによって豊かさを感じてきました。

しかし、裏では大量生産・大量消費が起こり、ものを次から次へと産み出さなくてはそれを維持できなかったのです。まだ右肩上がりに景気が良く、人口も増えていった時代はよかったのですが、現代のポスト・バブル経済や人口減少、市場の成熟によって我々はものを厳選するようになりました。そして、これまでのようなプライマリー・マーケットを維持する事が困難な時代に突入しています。

そこで重要になるのがセカンダリー・マーケットです。 購入したものを、もう一度市場に放出し、誰かがそれを購入していく。製造業・建設業などプライマリー・マーケットが多い日本の中において、ものを作らないで利益を上げるにはどうしたらよいのか?また、欧米のように社会構造の中にもともとリサイクルのシステムが無い日本では非常に困難な環境でもあります。

価値のバトン

ヒントはいくつかあります。欧米の200年以上続くオークションは何故これほどまでに業態を存続できるのでしょうか。成熟した中古時計市場や中古自動車市場では新品より安く購入できる利点だけでなく、ヴィンテージと呼ばれる新品より高く売れるものがあります。そこには使っても価値が落ちないものが存在しているという事です。価値あるものを使い、価値のバトンを受け渡していく。 

東京ヴィンテージでは、セカンダリー・マーケットの中でも特に価値のバトンに焦点をあて、価値の判断基準や相場価格などを透明化しながら、使い続けても価値が変わらないものを厳選してお客様に提供していく、日本発信のセカンダリー・マーケットのプラットフォームを成熟させることが大きな目的です。

ものに愛情を持ち、素材や工法などものにまつわる知識を持ち、新しいかたちの新陳代謝を促し、買う側・売る側お互いが満足いくものを得る事ができる。次の世代に向けた新しいマーケットのあり方を見つけて頂けると幸いです。


柳本 浩市 KOUICHI YANAGIMOTO

Glyph.代表
2002年Glyph.を設立し、主にデザインにまつわる企業の商品開発や業態開発、雑誌の監修や執筆、ワークショップ・講演、展覧会プロデュースなどを行う。原宿「HYPER MARKET」のプロデュース、代官山蔦屋書店のアドバイザーなどを務める。
著書に「DESIGN=SOCIAL」(ワークスコーポレーション)、共著として「時間のデザイン」(早稲田大学渡辺仁史研究室時間‐空間研究会/鹿島出版会)、「相対性コム デ ギャルソン論」(編:西谷真理子/フィルムアート社)などがある。